割子そばと釜揚げそば

出雲そばとは

 出雲そばは出雲地方を代表する食文化です。特徴の一つとして一般的なそばと比べて見た目が黒っぽいところにありますが、栄養価と香りが高く、風味と食感の良いそばが出来上がります。

 

【割子そば】

江戸時代、松江の城下町では、野外でそばを食べるために弁当のような四角い重箱にそばを入れて持ち運んでいました。この地方では当時重箱のことを割子と呼んでおり、それが割子そばの始まりと言われます。しかし四角形だと隅が洗いにくく、不衛生との理由から、今のような円形の漆器に変わっていきました。

つゆは土瓶のような容器に入れ、食べる前に器の中のそばに直接かけて食していました。その当時のスタイルが、今に引き継がれているのです。

【釜揚げそば】 

釜揚げそばは、出雲大社をはじめとした神社周辺が発祥といわれています。

全国の神々が集まる旧暦の10月、出雲地方の神社では「神在祭」が行われます。昔はこのお祭りの際に神社の周りに屋台が出て、温かい釜揚げで新蕎麦を振舞っていたといいわれてます。

通常、そばは茹でた後に水洗いをしますが、屋台売りのため都度洗うわけにはいかず、鍋や釜から茹でたそばを器に盛り、とろみのあるそば湯を入れ、つゆや薬味をかけて食べていたようです。

そのスタイルが今に残り、割子そばと並んで出雲そばの代表的な食べ方になりました。